今回の記事では、カンについて解説していきます。
Contents
カンとは?捨て牌を取って槓子を作る
カンとは、他家の捨て牌を奪って槓子を作る行為
『カン』とは、『槓子(カンツ)』を作る行為のことです。
『槓子(カンツ)』とは『面子(メンツ)』の一種で、同じ種類の牌4枚の組み合わせのことです。
槓子は、面子として扱うことができる
麻雀であがるためには、手牌の中で2枚1組の『雀頭(ジャントウ)、アタマ』を1組、3枚1組の『面子(メンツ)』を4組作る必要があります。
槓子は、4枚の牌の組み合わせのため本来は3枚組の面子として扱うことはできません。しかし、カンを行って槓子を他家に晒すことで、面子として扱うことができます。
カンには、『暗槓』『大明槓』『小明槓』の3種がある
カンには、『暗槓(アンカン)』『大明槓(ダイミンカン)』『小明槓(ショウミンカン)』の3種類があります。どれも槓子を作るという点では同じですが、手順や、カンを行うための条件がそれぞれ異なります。
カンを漢字で書くと『槓』
カンを漢字で書くと『槓』です。
麻雀用語を覚えよう
槓子(カンツ)
種類も数字も全く同じ4枚の麻雀牌の組み合わせのこと。
雀頭(ジャントウ)、アタマ詳細
役を作るために必要な、2枚1組の麻雀牌の組み合わせのこと。上がるためには雀頭が1つ必要になる。
面子(メンツ)詳細
役を作るために必要な、3枚1組の麻雀牌の組み合わせのこと。上がるためには面子が4つ必要になる。
和了(あがり/ホーラ)詳細
役を揃えること。和了となると、揃えた役に応じた得点を得られる。
他家(ターチャ)詳細
自分以外の、他のプレイヤーのこと。
暗槓(アンカン)
自分の手牌の中から同種の麻雀牌4枚を公開し、槓子を作る手順のこと。
大明槓(ダイミンカン)
他家の捨て牌を奪い、自分の手牌の中の刻子と組み合わせて槓子を作る手順のこと。副露、鳴きの一種となる。
小明槓(ショウミンカン)
既にポンで作った刻子に、手牌から1枚加えて槓子を作る手順のこと。加槓(カカン)ともいう。
カンのやり方、基本の手順
① 「カン!」と発声する
槓子は、4枚組の特殊な面子です。例えば、手牌の中に同種の牌が4枚あったとしてもそれをそのまま面子として扱うことはできないため、『カン』という特殊な操作をして槓子を作る必要があります。カンには、『暗槓(アンカン)』『大明槓(ダイミンカン)』『小明槓(ショウミンカン)』の3種類がありますが、まずはこれらの共通のやり方を説明します。
カンをするときには、まず「カン!」と発声し、他家にカンをすることを宣言します。
② 槓子を晒す
カンを宣言したら、他家に見えるように槓子を晒します。槓子の晒し方は、暗槓、大明槓、小明槓で異なりますが、詳細は口述します。
③ 嶺上牌をツモる
槓子は4枚組でありながら、3枚組の面子と同じものとして見なします。そのため、カンをすると手牌が1枚分足りなくなってしまいます。
カンで足りなくなった1枚を補充するため、カンの後は1枚牌をツモります。このとき、普通に牌山からツモるのではなく『嶺上牌(リンシャンハイ)』からツモるのがルールです。
嶺上牌とは、『王牌(ワンパイ)』の内の、ドラ表示牌の隣にある4枚の牌のことです。
④ 捨て牌をする
嶺上牌をツモった後は、捨て牌をします。カンは自分の番に行うため、その分の捨て牌をすることで牌の枚数の帳尻を合わせます。
⑤ 海底牌から王牌を補充する
捨て牌をしたら、『海底牌(ハイテイハイ)』を王牌(ワンパイ)にくっつけます。これは、嶺上牌をツモったことで王牌(ワンパイ)が1枚減ってしまったので、その分を補充する意味合いがあります。王牌(ワンパイ)は、常に14枚になければいけないのです。
なお、『海底牌(ハイテイハイ)』とは、牌山の1番最後にツモられる牌のことです。カンの後は、もともと海底牌だった牌は王牌(ワンパイ)の一部となり、もともとの海底牌の1つ前の牌が新しい海底牌となります。
槓ドラをめくる
カンをしたら、ドラ表示牌の隣の牌をめくって表に向けます。この牌は、『槓ドラ(カンドラ)』といい、表になっている場合はドラ表示牌と同じものとして扱います。つまり、カンをするとドラが増えるわけです。
なお、槓ドラをめくるタイミングは様々なルールがあり、取り決めによって異なります。一般的には、暗槓(アンカン)の場合は捨て牌の前、大明槓(ダイミンカン)と小明槓(ショウミンカン)の場合は捨て牌の後とするルールが多いようです。このルールだと、暗槓(アンカン)の場合は新しいドラを見てから捨て牌を決められるため若干有利になります。
麻雀用語を覚えよう
暗槓(アンカン)
自分の手牌の中から同種の麻雀牌4枚を公開し、槓子を作る手順のこと。
大明槓(ダイミンカン)
他家の捨て牌を奪い、自分の手牌の中の刻子と組み合わせて槓子を作る手順のこと。副露、鳴きの一種となる。
小明槓(ショウミンカン)
既にポンで作った刻子に、手牌から1枚加えて槓子を作る手順のこと。加槓(カカン)ともいう。
嶺上牌(リンシャンハイ)
王牌のうち、ドラ表示牌より左側にある4枚の牌のこと。
ドラ表示牌詳細
ドラを示すための牌のこと。
王牌(ワンパイ)詳細
ゲームから除外する14枚の牌のこと。ごく一部の例外を除いて、王牌が誰かの手牌の内に入ることはない。
ツモる詳細
麻雀牌を1枚とって手牌に加える行為。
捨て牌詳細
手牌から捨てられた牌のこと。麻雀では、1枚ツモって1枚捨て牌にしていくことを繰り返すことでゲームが進んでいく。
海底牌(ハイテイハイ)
牌山の中にある牌うち、最後にツモられる牌のこと。
牌山(ハイヤマ)詳細
2段×17枚の麻雀牌の山。プレイヤーがここから麻雀牌を引いて手牌に加えていくことでゲームが進行する。
槓ドラ
カンをしたときに追加される新たにオープンされるドラ表示牌のこと。
暗槓、大明槓、小明槓(加槓)の晒し方
ここからは、『暗槓(アンカン)』『大明槓(ダイミンカン)』『小明槓(ショウミンカン)』のそれぞれの詳細なやり方、槓子の晒し方について解説します。
暗槓(アンカン):手牌の4枚で槓子を作る
『暗槓(アンカン)』は、自分の手牌の中に同じ牌が4枚あるときに行うことができます。
暗槓(アンカン)をしたいときは、自分のツモ番で、ツモを行った後に「カン!」と発声します。
手牌から作った槓子は、端2枚もしくは真ん中2枚を裏向きにして、麻雀卓手前右端に置いておきます。槓子は一部を裏に向けて晒すので、一度ほかのプレイヤーに牌の表側をきちんと見せて不正がないことを示すとマナーの良い打ち方になります。
大明槓(ダイミンカン):手牌3枚と、他家の捨て牌で槓子を作る
『大明槓(ダイミンカン)』は、手牌の中に既に刻子ができていて、かつその刻子と同じ牌を他家が捨てたタイミングで行えます。
大明槓(ダイミンカン)したいときは、他家が捨て牌したタイミングで「カン!」と発声します。
捨て牌を貰って槓子を作ったら、他家に見えるように槓子を晒します。この際、誰の捨て牌を奪ったのか分かるように、1枚を横向きにします。『下家(シモチャ)』(=右隣のプレイヤー)から奪ったときは右端の牌を、『上家(カミチャ)』(=左隣のプレイヤー)から奪ったときは左端の牌を、『対面(トイメン)』(=正面のプレイヤー)から奪ったときは真ん中2枚のうちどちらかの牌を横向きにし、麻雀卓手前右端に置いておきます。
大明槓をした後は、右隣のプレイヤーの番になります。
小明槓(ショウミンカン):あらかじめポンした3枚と、手牌の1枚で槓子を作る
『小明槓(ショウミンカン)』は、既にポンで刻子を作っていて、かつその刻子と同じ牌が手牌にあるときに行えます。
小明槓(ショウミンカン)したいときは、自分のツモ番で、ツモを行った後に「カン!」と発声します。
このとき、ポンした牌の内1枚が既に横向きになっているはずなので、その牌の奥に重ねて横向きにして牌を晒しましょう。なお、小明槓は刻子に後から加えて作るカンなので、『加槓(カカン)』とも呼ばれています。
麻雀用語を覚えよう
下家(シモチャ)
右隣のプレイヤーのこと。
対面(トイメン)
正面のプレイヤーのこと。
上家(カミチャ)
左隣のプレイヤーのこと。
ポン詳細
他家の捨て牌を1枚奪って、刻子を作る行為のこと。
刻子(コーツ)詳細
面子の一種。種類も数字も全く同じ3枚の麻雀牌の組み合わせのこと。
カンと鳴き、メンゼンって?
カン(大明槓)は、鳴きの一種
『鳴き』『副露(フーロ)』とは、他家の捨て牌を奪って面子を揃える行為の総称です。具体的には、他家の捨て牌から槓子を作る大明槓(ダイミンカン)などは鳴きの一種となります。
鳴きは、大明槓(ダイミンカン)の他に、『ポン』や『チー』があります。
門前(メンゼン):鳴きをしていない状態のこと
全く鳴いていない状態のことを、『門前(メンゼン)』と言います。他家の捨て牌を使わず、自分のツモった牌だけで手を進めているような状態です。
メンゼンの状態でゲームを進めると、点数の面で有利になることがあります。
例えば、『立直(リーチ)』や『平和(ピンフ)』のようにメンゼンでないと成立しない役も多く、こうした役は俗に『メンゼン役』と呼びます。また、『一気通貫(イッキツウカン)』や『三色同順(サンショクドウジュン)』のような役は、鳴いて揃えた場合よりもメンゼンで揃えた場合の方が高得点を獲得できます。こうしたメンゼンの場合と鳴いた場合で役の得点が変わることを、『食い下がり』と言います。
麻雀用語を覚えよう
鳴き、副露(フーロ)詳細
他家の捨て牌を奪って面子を作る行為のこと。
門前(メンゼン)
ポン、チーなどの鳴きをしていない状態のこと。
ポン詳細
他家の捨て牌を1枚奪って、刻子を作る行為のこと。
チー詳細
他家の捨て牌を1枚奪って、順子を作る行為のこと。
役(やく)詳細
麻雀牌の特別な組み合わせのこと。麻雀では、ツモって捨てることを繰り返して手牌で役を作ることを目指していく。
食い下がり
ポン、チーなどの鳴きをすると、あがった時の役の得点が下がってしまうこと。
鳴きの優先度、ポン、カン、チーの順番は?
同じ捨て牌に対して、複数の人が同時に鳴いた場合、ポン=カン>チーの優先度になります。つまり、カンとチーが同時に発生したら、カンを優先してチーが無効になるということです。またポンとチーが同時に発生した場合もポンが優先になります。
なお、麻雀では同じ牌は4枚しか使わないため、ポンとカンが同時に発生することはありません。
また、ロンと鳴きも同時に発生した場合は、鳴きは無効になってロンが最優先になります。
麻雀用語を覚えよう
ロン和了、ロン詳細
他家の捨て牌が和了牌だったとき、それを取ってあがること。
カンのメリットとデメリット
カンのメリット:ドラが増える、ツモ回数が増える
カンの1番のメリットとして、ドラが増えることが挙げられます。ドラが増えれば、それだけあがったときの点数がアップする可能性が上がります。
また、嶺上牌をツモることでツモの回数が1回増えるのもメリットと言えるでしょう。
カンのデメリット:ドラが増える、メンゼンが崩れる
ドラが増えるのは、カンのメリットであると同時に、デメリットでもあります。他のプレイヤーがあがったときの得点もアップしてしまいます。
また、大明槓(ダイミンカン)を行ったときはメンゼンが崩れてしまうのもデメリットです。
カンは何回できる?嶺上牌がなくなったら?
カンを何回もしたら?
1局の中でカンを何度も行った場合、下図のような順番で嶺上牌のツモおよび槓ドラのオープンを行います。また、嶺上牌がツモられるたびに、海底牌(ハイテイハイ)を王牌(ワンパイ)に補充することになります。
カンは1局で3回が上限!4回目のカンは流局
カンができるのは1局に3回までで、4回目のカンが発生したときは『流局』となります。このルールのことを、『四開槓(スーカイカン)』と言います。
1人で4回カンするのはOK
滅多にあることではありませんが、1人で4回カンをすることは例外的に認められています。なお、1人で4回カンをした後にあがることができれば、『四槓子(スーカンツ)』という役満となります。
カンが関係する役
嶺上開花(リンシャンカイホウ)
槍槓(チャンカン)
三槓子(サンカンツ)
四槓子(スーカンツ)
刻子系の役もOK!槓子は刻子の一種として見なす
槓子は、『刻子(コーツ)』の一種として見なすこともできます。そのため『対々和(トイトイ)』や『三色同刻(サンショクドウコウ)』と言った刻子が必要になる役も、槓子で代用することができます。
補足
ラストのツモでカンはできる?
ラスヅモの後、つまり海底牌(ハイテイハイ)をツモった後はカンをすることはできません。牌山はなくなったけど最後に嶺上牌をツモる、というわけにはいかないので注意しましょう。
まとめ
- 4枚組の槓子を作るのが『カン』
- 槓子は面子として扱う
- 暗槓、大明槓、小明槓の3種類がある
- カンをした後は、嶺上牌をツモって槓ドラをめくる